お姉ちゃん自転車で保育園に行く(後編)|最後までやりきる力に大きな成長を感じた日 - 男性教員が一年育休とってみた。

お姉ちゃん自転車で保育園に行く(後編)|最後までやりきる力に大きな成長を感じた日

・片道6kmの道のりを、お姉ちゃんは最後まで自転車で走りきりました
・帰り道は上り坂が続く厳しい条件でも、弱音を吐かずに進み続けました
・体力だけでなく、やりきる力と自信がしっかり育っていることを感じた一日でした

今日も家族と、できる一歩を。

いよいよ当日。
保育参加の日は少し遅めに登園するのですが、時間がかかることを考えて、いつもより少し早めに家を出ました。

私の自転車の後部チャイルドシートに真ん中くんを乗せ、お姉ちゃんは自分の自転車にまたがります。
全員ヘルメットを着けて、準備完了です。

最初の難関は、家を出てすぐの約100mの上り坂。
往路はほとんど下りとはいえ、ここだけは避けられません。

大人にとっては大したことのない坂ですが、立ちこぎができないお姉ちゃんには少し厳しいかと思っていると——

立ちこぎ、できてるやん。

なんとこの日、お姉ちゃんが初めて立ちこぎに成功。
そのままぐいぐいと坂を上り、あっさりと最高地点まで到達しました。

続いて、出発から8分ほどで現れる最大の難関。
スロープ付きの長い階段です。

中央にスロープがあり、自転車を支えながらゆっくり下りていくタイプのものですが、距離はおよそ50m。
お姉ちゃんも途中まで頑張りましたが、ここでギブアップ。

私が一度下に自分の自転車を置きに行き、お姉ちゃんの自転車を取りに戻りました。
落ちそうになる自転車を支えながら下りるのは、やはり大変だったようです。

ただ、話をしてみると、気持ちはまったく折れていません。
ひとまず安心です。

ここからは、下り坂と平坦な道が続きます。
あとは距離こそあるものの、大きな難所はありません。

ところが、出発から30分を過ぎたあたりで、お姉ちゃんのスピードが少しずつ落ちてきました。

見慣れない景色の中で、自分がどれくらい進んでいるのか分からない。
そのせいで、ゴールに近づいている実感が持てなかったようです。

安全を優先して市街地の細い道を選んだのですが、似たような景色が続くことで、かえって不安を感じさせてしまいました。

「あとどれくらい?」
「今、何分くらい?」

何度もそう聞かれながら、
「もう三分の二くらいだよ」
「この先を抜けたら、いつもの道に出るよ」
と声をかけ続けます。

そして、ようやく見慣れた道に出たとき——
そこはもう、保育園のすぐ近くでした。

「もうすぐ近くだね」

そう言ってほっとした表情を見せるお姉ちゃん。
結局、道中で一度も「やめたい」や「帰りたい」という言葉は出ませんでした。

よく頑張りました。

保育園に到着したのは、出発から約55分。
ほぼ想定どおりの時間です。


(この日の保育参加については、別記事で書こうと思います)

保育参加の合間に、帰りも自転車にするか聞いてみると、
「帰りも自転車」
とのこと。

さらに、
「帰りはいつもの道がいい」
とリクエストもありました。

少し距離は伸びますが、見慣れた道の方が安心するのでしょう。
まだまだやる気は十分です。

こうなったら、とことん付き合うしかありません。

15時30分。
いつもより早く保育園を出ます。

玄関で靴を履いたあと、お姉ちゃんがぽつりとひと言。

「車がいい。」

……今それを言うか。

もしここで車に切り替えると、私が一度自転車で帰って、車で迎えに来ることになります。
それだけで1時間近くかかってしまいます。

「それでも待つ?」と聞くと、少し考えてから

「だったら自転車で帰る。」

その言葉に少し安心しつつも、弱気になっている様子に、こちらも少し心配になります。

それでも、改めてルートを確認し、いよいよ帰り道へ出発です。

走り始めると、不思議なことに、お姉ちゃんのペースが速い。
私のすぐ後ろをぴったりとついて走り、ときには追い越しそうな勢いです。

最初は私が疲れているのかと思いましたが、どうやら違います。

6年間通い続けた見慣れた道。
どこをどう進めばいいのか、あとどれくらいなのかが分かっていることで、不安がなくなっているのでしょう。

平坦な道を、朝よりも明らかに速いペースで進んでいきます。
気がつけば、往路の半分ほどの時間で、全体の4分の3近くまで来ていました。

しかし、ここからが本当の勝負です。

急な上り坂、そしてあのスロープ付き階段。

一度止まって水分補給をし、上り坂に挑みます。

勢いをつけて上りますが、やはり途中で失速。
電動アシストも変速もない自転車では、さすがに厳しいです。

そこからは、自転車を押して歩いて上ることに。

それでも、一度通った道だからか、ペースは落ちても表情は明るいままです。

そして続く階段。
実は、復路で初めて気づいたのですが、迂回できる坂道もありました。

どちらにするか聞くと、

「階段で行ってみる。」

まさかのリベンジ宣言です。

途中で手助けが必要になるだろうと思い、先に上まで上がって待ちます。
しかし振り返ると、お姉ちゃんはすでに半分ほどまで来ていました。

下りよりも、押して上る方がやりやすかったのでしょう。

「手伝おうか?」と聞くと、
「まだ大丈夫。」

そのまま最後まで自分の力で上りきり、見事リベンジ達成です。

その後もアップダウンを越え、家の近くに来るころには、私を追い抜こうとするほどの元気を見せていました。

家に到着したのは、保育園を出てから約60分。
往路とほとんど変わらない時間です。

上りが多い復路を考えると、本当によく頑張りました。

体力的にはきつかったはずですが、帰り道では一度も弱音を吐くことはありませんでした。

気づかないうちに、1時間走り続けられる体力と、やりきる力がしっかり育っていたのですね。

6年間通った道を自転車で走りきった感想を聞くと、

「大変だったけど、まわりをゆっくり見れてよかった」

とのこと。

その言葉に、大きな成長を感じた一日でした。

そして次の日。

「もう一回、自転車で行きたい」

……勘弁してください。

今日もなんとかやってます。ではまた。


前編はこちら→
お姉ちゃん自転車で保育園に行く(前編)|ずっと覚えていた約束に成長を感じた日

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